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遺伝子組換え作物に関する政府サイト、突如閉鎖の謎

突然閉鎖・リンク切れの怪

政府のサイトのコンテンツが、前触れもなく閉鎖されるというのはただならぬ事態と思いますが、なぜかマスメディアには取り上げられませんでした。

この問題を知ったのは、唐木英明・東大名誉教授の、2010年5月14日付mixi日記(要アカウント)でした。

異常事態発生! 2010年05月14日13:24

異常なことが起こっています。

農水省と首相官邸の遺伝子組み換え関係のホームページが突然閉鎖されました。

政務三役(大臣・副大臣・政務官)の命令だといううわさです。たしかに、遺伝子組み換えが大嫌いな人がこの中にいるようです。

これからどうしようというのでしょうか?

**** 社団法人 農林水産先端技術産業振興センター(略称 STAFF)
http://www.biotech-house.jp 休止中

http://www.biotech-house.jp/materials/ 見られます(下記)

*****
各種教材など
PDF資料
(学校教材、各種研修資料としてダウンロードして利用できます。)

○ 遺伝子組換え技術とは(農林水産省)
http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/basic/about.htm 休止中
○ 遺伝子組換え関連年表(植物を中心として)(農林水産省)[PDF:112KB]
http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/pdf/nenpyo.pdf 休止中
○ 遺伝子組換え農作物をめぐる状況について(平成21年1月)(農林水産省)[PDF:947KB]
http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/pdf/zyokyo.pdf 休止中
○ 「遺伝子組み換え」ってどんなもの?(農林水産省)[PDF:2.6MB]
http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/pdf/basic/how_to.pdf 休止中

各種教材等関係ホームページ
(教材等をダウンロードして利用する場合はそれぞれのリンク先の許諾が必要となる場合があります。)
○ バイオテクノロジーってなあに?(首相官邸)
http://www.kantei.go.jp/jp/kids/magazine/0212/5_0_index.html 休止中
○ 暮らしを変えるバイオテクノロジー(首相官邸)
http://www.kantei.go.jp/jp/kids/magazine/0212/6_0_index.html 休止中

この件について、唐木氏は続報として、5月20日付日記で「うわさ」としながらも、気がかりな事情を取り上げています。

農水省のホームページから遺伝子組み換え関係のかなりの資料が突然消えたのですが、この出来事のどこが異常なのか、書いてみます。

遺伝子組み換え作物はすべて特許で守られています。優秀な作物を作り出して特許を取れば、その種子を世界中に独占的に売り出すことができます。そうなれば経済にとって大きなプラスになり、景気の向上にも役に立ちます。そして、日本にはそれを実現できる科学と技術の実力があります。

さらに、遺伝子組み換え作物は世界の食糧問題の解決、農業労働の軽減、そして農薬の削減、環境保護などにも大きな貢献ができます。

そのような理由で、政府は遺伝子組み換え作物の研究を推進し、その人体と環境に対する安全性を検討し、優秀な作物を作り出すことを国の方針にしてきました。

そのような動きに反対する人たちもいました。反対の理由は「食品としての安全性」と「環境に対する悪影響」です。これらの2つについては膨大な研究が行われ、問題がないことが確認されたので、世界中で遺伝子組み換え作物の栽培が急速に進んでいます。

一部の研究者は「まだ研究が足りない」といい、これを支持する個人や団体が遺伝子組み換え反対運動を続けていますが、反対運動の科学的根拠は薄弱です。

世界的に受け入れられている遺伝子組み換えですが、日本では反対運動だけが大きく取り上げられ、賛成の運動が弱いというアンバランスがあります。最近になって政府の総合科学技術会議の方針で、小中高校生に遺伝子組み換え作物の科学的な事実を理解してもらうための冊子を農水省が配布することになりました。

一部の県でこの冊子の配布が始まったとたんに、ある団体から「賛成論だけを書くのはおかしい」という理由で回収の要求が出されました。もちろんこのような事態は想定済みでした。反対をするのなら科学的な事実を示す必要があり、それがなければ単なる感情論なので、反対する人に科学的な根拠を求めて、科学の場で十分に議論すればいいのです。

ところが、想定外だったのは、農水省がホームページを閉鎖したしまったことです。それは「遺伝子組み換え嫌い」で有名な農水副大臣の命令だといううわさがあります。人間は感情の動物ですから、個人で「好き嫌い」を言うのは自由です。しかし、もし一度決めた国の方針を副大臣が自分の感情で覆したのであれば、副大臣が変わるたびに方針が変わることを許すことになるので、国民に十分な説明が必要です。しかし、説明は一切ありません。

透明性と説明責任が重要であるにもかかわらず、誰の命令で、どのような科学的な根拠でこのようなことを行ったのか、その経緯を一切国民に知らせない。これを私は異常だと考えています。

皆さんはどのようにお考えでしょうか?

続いて、5月21日付の日記で、遺伝子組み換え作物の審査が止まったままであることが取り上げられています。

遺伝子組み換え作物は、食品としての安全性と、環境に与える影響を検討して、両方とも問題がなければ許可されます。

食品としての安全性は内閣府に設置された食品安全委員会が審査を行います。

環境に与える影響は農水省と環境省が共同で設置する「生物多様性影響評価検討会(以下、検討会と略す)」が審査を行います。これまで年に数回開催されていました。

ところが、今年の3月24日の検討会を最後に、4月以後の開催がキャンセルされて、審査が止まってしまいました。委員の任期が3月に終わったのですが、4月から新しい委員の任命について農水大臣の許可が取れず、委員がいなくなったことが原因のようです。

日本での審査が終わっていない遺伝子組み換え作物は、海外から輸入することはできません。日本で使われている食用油や家畜の飼料の大部分が遺伝子組み換えですから、審査が止まってしまうと、今後、これらに大きな影響が出る可能性があります。

しかし、具体的に何が起こっているのか、農水省から説明が行われていません。

「国民の生活が第一」というマニフェストを掲げて政権の座に着いた民主党が、遺伝子組み換えのホームページの閉鎖に続いて、遺伝子組み換え作物の審査までも止めたことについて何の説明もないのはどういうことでしょうか?

政策決定の経過を明らかにする「透明性」と、なぜそのような政策をとるのかを国民に説明する「説明責任」をまったく無視して、国民を馬鹿にしているとしか言いようがありません。

あまり知られていないけれど、とても大事な問題なので、お知らせします。

この、冊子の回収を求めた団体とは日本消費者連盟で、「遺伝子組み換え作物リーフレットの回収を求めます」という抗議文を出しています。

安全性についても、最近の動物実験で安全性に疑問を抱かせる世界の科学者の知見を紹介することもなく、DNAは主にタンパク質でできており、体内で消化されるから心配ない、などと解説しています。

??? 「安全性に抱かせる世界の科学者」とは、方法が科学ではないので、まともな科学者から相手にされていないだけです。

いわば、声の大きい自称「消費者団体」にいちゃもん付けられて、冊子が小中高生を遺伝子組み換え推進に"洗脳"するものだといわれるのは本意ではないということで、ウェブサイトの内容を見直しているということのようですが、事情を国民に一切説明することなく、突如ウェブサイトから削除されたのです。

そして、「うわさ」の域を出ないけれども、山田正彦・農林水産副大臣(当時)の意向が働いていると考えられると。

国のサイトに圧力をかけて、削除、なかったことにしてしまうとは、自称「消費者団体」のやっていることは恐怖政治、独裁と同じです。60数年前の「進め一億火の玉だ、反対する奴非国民」と同じじゃないですか?

この、声のでかい自称「消費者団体」に対して「なぜ?」と言える、真の消費者団体もあるわけで、この冊子問題に関して、「食のコミュニケーション円卓会議」が質問書を出しています。

遺伝子組換え作物リーフレットについて(PDF)

山田正彦という人物

山田正彦・前農林水産大臣。牧場を経営していたころにアメリカが大豆の禁輸措置を取ったことから危機感を覚えたらしく、食料自給率向上を唱えて、『小説 日米食糧戦争』なる著書を出しています。その山田氏に関して、気がかりな話は以前から漏れ伝わってきていました。

松永和紀blog:山田農林水産副大臣のメッセージ

もしかしてこの人はスイートコーンとデントコーンの区別がついていないのかもしれない。

このところ、「飼料米を作れば、アメリカのトウモロコシは必要ない、と本気で信じているらしい」とか、「食品のリスク管理について説明しようとすると、『国産は安全・安心なのに、なぜこんなことが必要か?』と言う」とか、いろいろと気になる情報が漏れてきていた。農水省の官僚が困り果てている、という話も聞いた。官僚だって、農水省の恥にはしたくないから説明をしたいのだけれど、聞こうとしないというのだ。

私は半信半疑だったのだけれど、やっぱり本当なのかもしれない。

まず、日本に農地がどれくらいあるのか、トウモロコシやダイズ、ナタネなどをどれだけ輸入していて、その穀物を栽培するのにどのくらいの農地面積が必要なのか、計算した方がいい。

山田副大臣が、日本人に「肉と油は食うな。これからは、米とイモの生活だ!」とちゃんと言うならそれも結構だが、そんな内容はメッセージには入っていない。これからこの人は、どうするつもりなのだろうか。

官僚や研究者が説明しようにも、思い込みに駆られて聞く耳すら持たない人物だというのです。

民主党政権になってから、悪い意味でのアマチュアリズムが露呈しているように思えます。鳩山前首相のポスターで謳っていたのは「政権交代」、まずは政権奪取ありき、その後どうやって国を治めていくのかというビジョンはその次ですか?と私などは突っ込みを入れていました。

日本消費者連盟や生活クラブ生協のような"有閑奥様クラブ"が偉いのだ、下々のビンボー人は飢えて死ね、というのが"友愛"とやらの正体なのでしょうか。

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