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「食品と暮らしの安全」の薬事法違反(?)

消費者庁が動くか?

消費者庁が、野放しに近かった健康食品の誇大広告に、健康増進法を厳格に運用し、悪質な事業者を公表する方針を打ち出しました。

健康食品、誇大広告の業者名公表へ 消費者の苦情絶えず

 「誰でも必ず激ヤセ」「医者に行かずともガンが治る!」といった誇大な表現を使った広告で健康食品を売っている業者に対し、消費者庁は1日、改善指導に従わない場合は、業者名を公表する方針を明らかにした。健康食品をめぐる消費者トラブルが後を絶たないことから、健康増進法に基づいた行政処分を徹底する。

 消費者庁は今年6~8月にインターネット上の健康食品の広告について実態調査をし、誇大広告などを出している約300業者に「消費者を誤認させる恐れがある」として改善を求めた。12月から改善をしたかどうかの確認作業を進め、改善に応じない業者には、健康増進法に基づく勧告・業者名公表を検討する。

 健康増進法は2003年の改正で、健康に絡む効果について虚偽・誇大な広告を禁じたが、これまで厚生労働省や消費者庁の人手不足などもあって、勧告などの行政処分を発動していなかった。

 国民生活センターによると、2009年度は全国で約1万3千件の健康食品をめぐる苦情・相談が寄せられた。04~08年度も1万5千~1万7千件で推移し、うち「消化器に障害が出た」「皮膚に異常」など、実際に健康被害が出たとの申し出も462~742件寄せられた。

2010年12月1日 朝日新聞

健康食品誇大広告:がんに効く、確実にやせる 業者公表へ--消費者庁方針

 「飲むだけで確実にやせる」「がんに効くといわれている」といった誇大な広告を使用する健康食品について、消費者庁は30日、悪質な業者名を12月から公表する方針を固めた。健康被害や効果がないなどの苦情が絶えないことから、健康増進法の運用を強化し、同法に基づく行政処分に初めて踏み切る。

 健康食品で「がんが治る」などと医薬品のような効能をうたうと、薬事法に触れ、刑事罰の対象になる。

 しかし、同法には触れないが、消費者を誤解させる広告は、インターネットを中心に少なくなく、国民生活センターには、健康食品について「飲んだら吐き気がする」「利用してもやせない」などの相談が、毎年1万5000件前後寄せられている。

 健康増進法では、病気の予防効果や栄養成分の効果などをうたう広告で「著しく事実に相違したり、著しく人を誤認させるような表示」を禁止している。

 消費者庁は今年6月以降、「最高のダイエット食品」「血行を整え、むくみを緩和」など、表現が不適切なネット広告を出している業者約300社に改善を求めてきた。12月になっても改善されない場合は、勧告を行った上で業者名を公表する方針だ。

 消費者庁はまた、商品を著しく優良と誤認させる表示を取り締まる景品表示法の運用も強化する方針。

 消費者庁が昨年9月に発足する以前は公正取引委員会の所管だったため、健康被害の防止よりも公正な競争の確保が重視されやすく、同法で健康食品の表示が取り締まられることは少なかった。【山田泰蔵】

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◇健康増進法に違反する広告の表示例◇

▼明らかに違反(カッコ内は理由)

  • 「がんに効くと言われています」
    (治療が必要な疾患が治ると誤解を与える)
  • 「最高のダイエット食品」
    (「最高」とは立証できない)
  • 「厚生労働省から輸入許可を受けた健康食品です」
    (実在しない制度や許可をかたっている)

▼以下のような広告でも根拠が薄い場合、表現方法が不適切な場合は違反

  • 「3カ月で10キロやせると実証済み」などの実験結果を示す
  • 「『飲むと体調が良くなりました』(東京・男性55歳)」など体験談を示す
  • 「『がんを○○食品が治した!』(△×出版)に掲載された食品です」などと関連書籍を引用する
2010年12月1日 毎日新聞 東京朝刊

解説:健康食品誇大広告 所管変更、野放し是正

 事実でない表現や誇大広告が少なくない健康食品は、効果を信じて医療機関を受診せず、適切な医療が受けられなくなるなど、長年問題が指摘されてきた。03年には健康増進法の改正で、不適切な表現が禁止され、勧告などの行政処分や罰則規定が盛り込まれた。

 しかし、当時同法を所管していた厚生労働省は財源難から違反調査の専従職員を定員配置できず、勧告など処分実績はゼロ。事実上の野放し状態だった。

 昨年9月に発足し、同法の移管を受けた消費者庁は執行のあり方を見直し、体制を強化。専従職員は1人だが、来年度予算で4人の増強を要求している。インターネット上の広告監視も年1回から4回に増やし、来年度も調査件数を1000件以上に倍増する計画だ。

 ただ、同法の運用強化だけでは無数に生まれている不適切な広告を抑え込めない。薬事法を所管する厚労省などと連携を深め、複数の法律や制度を一元的に運用できるかが重要だ。【山田泰蔵】

「食品と暮らしの安全」

まずは消費者庁や厚労省のお手並み拝見というわけですが、数ある健康食品の誇大広告の中で、筆者が極めて悪質と捉えているものを取り上げましょう。小若順一氏が代表をつとめる、「食品と暮らしの安全(旧:日本子孫基金)」です。アスペルガー症候群が『無添加白だし(三合わせ)』で改善されたなどと謳っています。「食品と暮らしの安全」はNPO法人と、「安全すたいる」を運営する株式会社という2つの法人格を持って活動しています。NPO法人で、普通の商品を散々貶めておいて、会社のほうに誘導するという手口です。

消費者団体から生まれた悪徳商法

本サイトで度々参考にさせていただいている「松永和紀blog」が、この商法を取り上げました。

小若順一氏らの薬事法違反(? )を日本消費者連盟が明らかに?

それによると、日本消費者連盟「食の安全・監視市民委員会」が母体になって発足した、「食の安全・市民ホットライン」が、この商法を問題視しているらしいというのです。

さて、「食の安全・市民ホットライン」はこれから、どのように情報の質を判断し、なにをデータベース化しウェブに掲載して行くのか? 興味津々で見ていたら、驚くべきことが起きた。皆さんからの不具合情報 の11月8日付の情報を見てほしい。
年月日 不具合の種類 食品の種類 商品名 事業者名 皆さんからの連絡 事業者の対応 男女 住所
2010.11.19 不適情報 書籍 書名「TNK」 (株)SG館 根拠不足な情報、科学的検証に耐えられない情報により、消費者の食情報を間違った方向に煽動。いたずらに不安感を煽り、結果的に自社関連商品(無添加白だし)を買わせる仕組み。また、差別を助長する内容にもなっている。薬事法に触れる記載が多い。不実証広告として景表法にも抵触。   神奈川県
2010.11.11 不適販売 そば ミネラル補給そば SKA(NPO) このサイトは優良誤認の不実証広告が多く、消費者にとって危険。「心身の不調がよくなる」という表現は薬事法に抵触。九割蕎麦で「マグネシウムを大量補給」と書く根拠が不明(蕎麦のマグネシウム含有量はそれほど多くない)。海苔、ごまにミネラルは多いが、そもそも重量を食べられない。量の概念が不足した宣伝でいたずらに消費者の不安を煽り、また、健康不安を感じている人の弱みにつけこんだ商品。薬事法および景表法に抵触している。   神奈川県
2010.11.08 不適表示 無添加白だし MKテイスト SKA(NPO) 「無添加」「ミネラル」の表示と、病気の改善などの表示。このだしを摂取すると躁鬱病が改善するかのような薬事法に抵触しかねない売り場づくりがされている。また、ミネラルが豊富かのような表現も好ましくない。これにより、さらなる健康危害が出る恐れがある。   東京都

「SKA(NPO)」とはもちろん「食品と暮らしの安全」のことで、「(株)SG館」が出している書籍「TNK」は、「三五館」(他にも『買ってはいけない』で有名で、やはり日消連出身でもある船瀬俊介氏の著作も出しているところです)から小若氏らが出した『食べなきゃ、危険!』を差していると思われます。その小若氏、他でもない日消連出身なのです。

 市民団体で不安を煽り、会社で買わせる。この"つくり"の問題点は、「食の安全・市民ホットライン」が掲載した情報が指摘する通り。

 「安全すたいるオンラインショップ」店主は、「(株)食品と暮らしの安全 代表取締役 小若順一」氏で、小若氏は、月刊誌「食品と暮らしの安全」を発行する「食品と暮らしの安全基金」の代表でもある。実に巧妙な足掛けだ。そして、ここからが興味深いのだが、小若氏の出身は日本消費者連盟である。

 市民団体「食品と暮らしの安全基金」は、これまでにも「アスペルガー症候群が「『無添加白だし(三合わせ)』(天然ダシ)で劇的に回復する」というような情報を流し、一方で「(株)食品と暮らしの安全」が『無添加白だし(三合わせ)』(天然ダシ)を販売するという悪質な商法を繰り広げてきた。

 小若氏は、昨年、ある地方の消費者団体に招かれ講演した時に、ちまたにある食品の悪口をさんざん言った後に、この商品を出して「こんなにいい」と宣伝したそうだ。消費者団体もさすがに「これは、まずい」と気付き、参加者からも後で文句が出た。その消費者団体は今年、憑き物が落ちたように唐木英明・東大名誉教授や畝山智香子・国立医薬品食品衛生研究所研究員などを招き講演会を開催している。

 でも、官庁はこの商法に手を出せなかった。ところが、消費者が「食の安全・市民ホットライン」に情報を掲載させた。もし、ホットラインが本当に本気なら、消費者がどしどし情報を寄せれば「必要があると判断した場合は、事業者への警告、行政への法的措置要求などの行動をとることも予定しています。重大・緊急と判断した場合は、個別企業名、商品名の公表もします」になるかも。神山美智子さん、本気になって小若商法を追及してください! 十分に重大、緊急です!

 それにしても、日本消費者連盟と小若氏の関連を逆手にとって情報を投稿し掲載させた消費者さん、すごいです。これが、本物の消費者力、かも。

この件に関して、Twittarではこんな反応が出ていました。

例えると「でかいポンプ車を置いておきながら、裏でマッチで火を付けてた」ことに別の人が気づいたわけですね。

Wikipediaの謎

その、小若氏に関するWikipediaの記述が、面白いことに賛美一色になっています。今後も要注目です。

さいたま市保健所の回答

その後、「食品と暮らしの安全」は、さいたま市保健所に相談のうえ、「会社組織の変更」を行ったということです。そして、「食の安全・市民ホットライン」はさいたま市保健所から、文書で回答を引き出しました(PDF)

今回ご指摘いただいた「無添加白だし」は、各都道府県衛生主幹部(局)長あて厚生省薬務局監視指導課通知「無承認無許可医薬品の監視指導マニュアルの改正について」(昭和62年9月2日薬監第88号)に基づき、「明らかに食品と認識されるもの」に該当すると解しております。

したがって、ご指摘いただいた当該商品に対する宣伝をもって直ちに薬事法違反とはいえないと判断しており、業者に対して薬事法に基づく処分は考えておりません。

ただし、一般に食品に対して効能効果を謳う広告は薬事法に違反する行為にあたるため、当該業者には、薬事法の見地から食品に対する広告行為については十分注意するよう指導を行いました。

また、今回ご指摘いただいた「無添加白だし」についてのインターネット広告に対し、健康増進法の見地から、「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)」及び、「食品として販売に供するものに関して行う健康保持増進等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項について」、「健康増進法上問題となるインターネット広告表示について」に基づき、いわゆる健康食品の誇大広告に該当するため関東信越厚生局の指導の下、指導を行いました。(強調引用者)

薬事法に関しては、黒とは看做されなかったとはいえグレー、健康増進法に関しては黒だったわけです。例え行政処分には至らないまでも、「監督機関が動く」ことを、悪徳業者は嫌がります。日本消費者連盟・食の安全・市民ホットライン自体やその構成メンバーは嫌いなのですが、「行動する」姿勢は見習う点もあるようです。

「食の安全・市民ホットライン」とさいたま市保健所に拍手!!

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