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Q:食べるコラーゲン・食べる酵素は体にいいものですか?

A:食品として摂取する意義に乏しく、無駄と考えられます。

コラーゲンを食べると、肌にいい?

コラーゲンが入っていることを謳う食品が、今や一大産業になっています。ところが、コラーゲンを食品から摂取することに特に意味はないというのが、現時点での考え方です。コラーゲンがもてはやされる背景には何があるのでしょうか?

読売ウィークリー
「飲んでプルプル」は根拠なし!? 300億円「コラーゲン市場」のウラ

コラーゲンは、生命体を構成するもっとも重要なタンパク質で、真皮に限らず、あらゆる臓器に含まれています。

ただ、コラーゲンに限らず、タンパク質は消化器でアミノ酸に分解されて吸収されます。中学校の理科で習ったとおりなのです。コラーゲンを食べても、分解されたアミノ酸が再びコラーゲンになるとは限らないわけです。

国立健康・栄養研究所:コラーゲンの安全性と機能性

では、コラーゲンをアミノ酸供給源としてみれば、どうでしょうか。

コラーゲンを構成するアミノ酸は、グリシン、アラニン、プロリン、ヒドロキシプロリンとなっています。これらは全て、体内で合成される非必須アミノ酸です。「良質なタンパク質」とは、体内で合成できず食品から摂取する必要のある必須アミノ酸をバランスよく含むアミノ酸で、コラーゲン以外の動物性タンパク質の多くがそうですが、コラーゲンはこれまで栄養学的には無価値と扱われてきました。

なお、ヒドロキシプロリンの合成にはビタミンC(アスコルビン酸)を必要とします。ビタミンCの欠乏によってヒドロキシプロリンの合成が不十分になることで起こるのが壊血病です。

良質な(必須アミノ酸をまんべんなく含んでいる、という意味)タンパク質とビタミンCを摂っていればいいというわけで、コラーゲンを食品として摂取する意義は乏しいのです。

余談ですが、化学の実験をやったものならおそらく経験があるであろう、硝酸が皮膚に付くと黄色くなる反応。キサントプロテイン反応といって、ベンゼン環を含んだタンパク質やアミノ酸が硝酸でニトロ化されて起きるものです。皮膚も芳香族(構造にベンゼン環を含む)アミノ酸を含むのでこの反応が起きますが、コラーゲンは芳香族アミノ酸をほとんど含まないので、この反応は起きません。

気になったのは、読売ウィークリーに出てきたこの一文ですね。

「『なんでコラーゲンは健康食品としていいんですかね?』と訪問先の会社で聞いたんですが、『分からない』との答えしか返ってきませんでしたね。気まずくなったので、こっちから『昔から食べているものから作られているからですかね』と会話をつなぎました」

商品を売っておいて、「分からない」とは無責任過ぎませんかね?

イメージに惑わされている

コラーゲンの「お肌プルプル」というイメージ、私が思うに、化粧品にコラーゲンが用いられていることからの連想で食品にも拡大解釈されてしまっているのでしょう。化粧品のコラーゲンは単なる保湿成分であって、コラーゲンのような巨大な分子が表皮から体内に吸収されることはありえません。

飲む酵素

「飲む酵素」「酵素ダイエット」という健康食品もたくさん出回っていますね。でも、酵素もコラーゲンと同じタンパク質ですから、ほとんどの酵素は消化の過程で分解されてしまいます(胃液そのものに含まれるペプシンは別にして)。消化の役にはたつのかもしれませんが、それ以上の期待はしないほうがいいでしょう。

以下のサイトを読んで、大笑いしてしまいました。

酵素ダイエット|活きてる酵素で代謝アップ

酵素はタンパク質であって、微生物ではありませんから(「酵母」とごっちゃにしたイメージを狙っている?)、「活きてる」とはヘンですね。

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