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Q:イオンデトックス・金箔エステ・チタングッズは?

A:期待するだけ無駄です。

イオンデトックス

「イオンデトックス」「デトックスフットバス」なるものがあります。水に食塩のような電解質を少量入れて、足を入れて通電すれば、ムクムクと沈殿が湧き上がってきて、毒素が排出されるという触れ込みです。

ムクムク毒素の正体は、鉄の錆だった

イオンデトックス

いかにも見た目に「毒素」が排出されているような効果から、2005年頃からブームになりました。では、このイオンデトックスなるもの、毒素が排出されるというのは本当でしょうか。

実は、茶色いムクムクの正体は水酸化鉄、正確には赤褐色の水酸化鉄(III)と緑色の水酸化鉄(II)、要は鉄の錆、電極から鉄が溶け出すことによるもので、足を入れても入れなくてもムクムクは出るわけなのです。一部の業者は電極にステンレスを用いているので錆びないからインチキではないと主張しているようです。ステンレスは鉄にクロムやニッケルを混ぜた合金であり、クロムがつくる酸化皮膜が不動態となって通常は錆びにくくなるのですが、電解質が存在する状態で通電すれば、錆びてしまうのです。

金箔エステ

面白いものを見つけて、不覚にも大笑いしてしまいました。24K金箔を顔や手の甲に貼り付けることにより、「金イオンの効果をきわめて簡単にお肌に働きかける方法で」、「肌の不要な老廃物も金イオンにより除去してくれると言われてい」るのだそうです。

金がイオン化するとは?

食品添加物の項で「既存添加物」に少しふれましたが、金も既存添加物のリストに入っています。金箔入りの酒ですね。摂取してもそのまま排泄されるから、ほぼ無害と考えられているわけです。一方、この金箔エステでは、「金イオン」なる言葉を用いていることから、金がイオン化するという前提があるようです。では、金がイオン化するとはどういうことか、考えてみましょう。

高校で化学を勉強したことがある方は、「イオン化傾向」を思い出して下さい。

K(カリウム)>Ca(カルシウム)>Na(ナトリウム)>Mg(マグネシウム)>Al(アルミニウム)>Zn(亜鉛)>Fe(鉄)>Ni(ニッケル)>Sn(スズ)>Pb(鉛)>H(水素)>Cu(銅)>Hg(水銀)>Ag(銀)>Pt(白金)>Au(金)

これを、「金借るな、まああてにすな、ひどすぎる借金」と覚えたものです。イオン化傾向に限らず、バケ学には語呂合わせの丸暗記が多いですね。イオン化傾向で金が出てくるのは一番最後、つまり最もイオン化されにくい金属だということです。

その、最もイオン化されにくい金がイオン化する反応というと真っ先に思いつくのが、王水です。王水とは濃塩酸と濃硝酸を体積比3:1で混合したもので、金や白金を溶かします。金の場合、塩化金(III)酸(テトラクロロ金(III)酸)になります。

基本的に、重金属のイオンは毒です。過去に鉱毒のような公害を起こしてきたことは聞き覚えがあるでしょうが、実験室レベルでも重金属の廃液を流しに垂れ流したりするのはダメなので、廃液はタンクにためて、しかるべき処理を行っているのです。現に、塩化金酸のような無機金塩類は、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。

金属アレルギーとは、金属が汗などで腐食して(つまりイオン化して)、体に悪さをするから起きるのです。「金箔エステ」が謳っている「金イオンの効果」が嘘、すなわち金がイオン化することなく金が張り付いているだけであれば、毒にも薬にもならない気休めでしかないでしょう。嘘ではなくて、本当に、「金イオンの効果をきわめて簡単にお肌に働きかける」のであれば、「金イオンの効果」なるものは危ないと思います。

チタンブレスレット

これも一時ブームになったのがチタンブレスレットです。チタンも耐食性が高く、体に対する影響が小さいわけですが、これまた、「毒にも薬にもならない気休めでしかない」例ですね。チタンが高価なので、貴金属的なイメージを持たれていることもあるのでしょう。

ちなみに、元素としてのチタンは地殻に大量に含まれていて、二酸化チタンはごくありふれた白色顔料です。金属チタンが高価なのは、精錬するのにコストがかかるからです。

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