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LOHAS・スローライフ・ホワイトバンド

LOHASとは

LOHASとは、Lifestyles Of Health And Sustainability (健康と持続可能性のライフスタイル)の略として生まれたマーケティング用語です。元々はアメリカの社会学者ポール・レイらが提唱したマーケティングコンセプトです。ところが、この言葉が日本に輸入されてから、ややずれた意味で広まったのです。

商標ビジネス

日本では、小黒一三氏が編集長を務める月刊誌『ソトコト』がこの言葉を広め、同誌関連のトド・プレスと三井物産が、「ロハス」を商標登録してライセンスを売るというビジネスを編み出しました。実際、シャープが無断でLOHASを商品の宣伝に使ったとして、「宣伝活動に無断で使っており、断固やめてもらう」と警告を行ったこともあります。そのシャープの広告を作った電通でさえも、「ロハス」は一般名詞だと思っていたのです。

しかし、この商標権ビジネスは批判を招き、商標使用料を取ることをあきらめることになります。

ロハスのウソと真実 ロハスはソトコトの登録商標だった

小黒氏は、『ソトコト』で提唱した「スローフード」に関しても商標を取ろうとして失敗したことがあります。いわば、スローフード・スローライフビジネスの仕掛け人なのです。

「カタカナロハス」の軽薄さ

安井至氏は、日本に入ってきて変質したLOHASを「カタカナロハス」として、その軽薄さを批判しています。

市民のための環境学ガイド:LOHASの誤解

『ソトコト』がいう「ロハス的発想」として、「質素な生活を目指すのは素晴らしい」ことが挙げられているそうですが、

プリウスにのって、ヨガをたしなみ、オーガニック食品を選ぶのが典型的な「ロハス的生活」だと言う
のだそうですね。

そこで、カタカナロハスの要素として、

(1)自然エネルギーなどの「持続可能な経済」、(2)有機野菜などの「健康的な生活」、(3)ヨガや瞑想などの「自己開発」、(4)漢方や整体などの「代替医療」、(5)エコツーリズムのような「環境に配慮した生活」

有機野菜が慣行栽培に比べて、特段「健康的」とは言えないことは、本サイトでも論駁してきたところですし、「代替医療」となると、ホメオパシーのようなヘンな方向に行ってしまうおそれがあります。

そもそも、「質素な生活」というのであれば、ポンコツの軽自動車に乗って、スーパーの特売に群がる生活のほうが、よっぽど「質素」ではないですか。「ロハス的生活」なるものは、生活に困らない有閑奥様の趣味でしかないんじゃないでしょうか。

ホワイトバンドはどうなったのか

ホワイトバンドは、元はイギリスで始まった、白いリストバンドを付けて貧困撲滅の意思表示をするという運動です。

ところが、日本では、NPO法人「ほっとけない 世界のまずしさ」(2008年解散)がPR会社「サニーサイドアップ」社長・次原悦子氏と組んで、白いゴムのリストバンドを1個300円で売るという活動に変質しました。元の、イギリスの運動では、自分で作った白い布を巻きつければいいというものだったのですが。

ホワイトバンド問題を取り上げてきた紀藤正樹弁護士は、週刊文春で次原氏と対談しています。

紀藤:イギリス版のホワイトバンドではトップページにきちんと「トレーナーの紐でも、ヘアバンドでも、キーホルダーでもなんでもいい」と明記されている。

次原:とはいっても、最近は偽物も出回っています。

紀藤:なぜ偽物は駄目なんですか。白いものなら何でもいいからこそ巻こうよ、という運動ですよね。

「偽物は駄目」、自分たちだけが売っている本物を買えというのが、日本版ホワイトバンドの正体です。

ホワイトバンドの負の遺産

結局、日本版ホワイトバンドプロジェクトは大きな赤字を出したといいます。それにもまして、NPO・NGOに胡散臭いイメージがついてしまって、まともな運動も迷惑をこうむりました。ホワイトバンド、普及団体も解散したことで、今は忘却の彼方へ去ろうとしていますが、市民運動の反面教師として覚えておきましょう。

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