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単位の話

パーセントとppmとppb

残留農薬の基準違反を伝える報道で、「残留農薬が0.7ppm検出された。基準の70倍で回収」といいます。ppmとはどういう意味なのでしょうか?

1パーセントはご存知の通り100分の1、パーセントとはperts per centです。ppmは100万分の1、perts per millionの略です。その下にppb(10億分の1・perts per billion)という表し方もあります。

ピンと来ない方のために、『メディア・バイアス』では、次のように説明してくれています。

横20メートル長さ50メートル深さ1メートルのプールを、例えばジュースで埋め尽くし、食塩10グラム(小さじニ杯程度)を振り入れて均一に溶かし込んだのが0.01ppmという濃度
このプールのジュースを舐めて、塩辛い味はするでしょうか?

接頭辞

気圧の単位がミリバール(mbar)からヘクトパスカル(hPa)に変わったのは日本では1992年のこと。1気圧(標準大気圧)に近い「バール」という単位が作られて、その1000分の1ということでミリバールという単位が作られて、CGS単位系(センチメートル・グラム・秒を基本とする単位系)のひとつとして使われてきました。ところが、国際単位系(SI)への移行で、圧力の単位としてパスカルを使うことになりました。パスカルに100を意味する接頭辞であるヘクトを付ければ、ミリバールとまったく同じ値になるので、言い換えることになったのです。

ヘクトは100を意味する接頭辞ですが、ヘクトパスカルと、面積の単位であるヘクタール(ただし非SI単位)以外ではまず用いられません。桁を意味する接頭辞は、通常3桁ごとの区切りで用いられます。

  • キロ(k)・・・1000(103
  • メガ(M)・・・100万(106
  • ギガ(G)・・・10億(109
  • テラ(T)・・・1兆(1012

ハードディスクの容量などでおなじみですが、昔の製品とは隔世の感があります。

  • ミリ(m)・・・1000分の1(10-3
  • マイクロ(μ)・・・100万分の1(10-6
  • ナノ(n)・・・10億分の1(10-9
  • ピコ(p)・・・1兆分の1(10-12

ナノテクノロジーで最近よく聞くようになった「ナノ」ですが、「ナノメートル」は光の波長を表すのによく使われる単位です。

SI単位と非SI単位

ジェームズ・プレスコット・ジュール
ジェームズ・プレスコット・ジュール(1818-1889)

ミリバールがヘクトパスカルに変わったのは、「非SI単位が原則使えなくなった」からです。SI単位とは「国際単位系」で、メートル・キログラム・秒・アンペア(電流)などを「基本単位」と定めています。

ただ、広く慣例的に使われてきたために、例外として、用途を限定して使用が認められている非SI単位が多くあります。例えば熱量のカロリー(cal)、SI単位では熱量はジュール(J)を用いることになっているのですが、栄養学や生物学に限ってカロリーの使用が認められています。今後将来的には、日本でもSI単位に統一する方向ということで、海外の食品にはジュール表記を併記したものもあります。

1cal≒4.19Jと換算されます。この定数は「熱の仕事当量」といわれています。19世紀イギリスの物理学者ジェームズ・プレスコット・ジュールが、錘で羽根車を回転させ、水を撹拌して温度を上げる実験を行い、仕事と熱量が等価であることを明らかにし、エネルギー保存の法則の発見につながりました。エネルギー・仕事・熱量の単位であるジュールに名前を残しています。

圧力の単位としてはパスカルを使うことになっているのですが、「例外的に」血圧にはmmHgを使えることになっています。

あと、アメリカがヤード・ポンド法大国なので、アメリカの影響が強い航空・宇宙分野などでは国際的にヤード・ポンド法を認めざるを得ない現状があるわけです(例えば航空管制では高度はフィート)。

単位の定義

SI基本単位の定義、過去は、メートルなら「メートル原器」なる物差しが基準になっていたのですが、現在では、メートルは「1秒の299,792,458分の1の時間に光が真空中を進む距離」、秒は「セシウム133原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移に対応する放射の周期の9,192,631,770倍の継続時間」、なんだかチンプンカンプンですが、「普遍的な物理量」から定義付けられているのです。ところが、キログラムだけは「国際キログラム原器の質量」。人工物が定義になっています。

キログラムの定義、元々は「水1リットルの質量」だったのですが、水の質量は温度に依存して変わることがわかり、1870年代に作成された国際キログラム原器(白金90%イリジウム10%の合金で、直径高さとも39mmの円柱)の質量を定義と定めたのが1889年のことです。これの複製品が40個作られて、そのうちの1個が「日本国キログラム原器」として、茨城県つくば市にある産業技術総合研究所に保管され、日本におけるキログラムの基準になっています。フランスにある国際原器も複製品も、真空中に密封保存され、約10年おきに特殊な天秤で測定されています。日本国キログラム原器は国際原器に比べて0.170mg重いということです。

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