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「豪快な号外」の豪快な暴走

豪快な号外とは

『豪快な号外』とは、「TEAM GOGO!2007」という団体が、2007年の夏至に合わせて「地球温暖化防止」を謳い配布した意見広告です。

「30秒で世界を変えちゃうWEB新聞」

「言いだしっぺ」は、元吉本芸人(山崎邦正とコンビを組んでいた)の「てんつくマン」こと軌保博光氏と、環境NGO「ナマケモノ倶楽部」の中村隆市氏。呼びかけ人として、ナマケモノ倶楽部の共同代表である辻信一氏や、未来バンク事業組合理事長の田中優氏、坂本龍一氏、高樹沙耶(益戸育江)氏といった著名人、NPO法人・ネットワーク『地球村』高木善之氏きくちゆみ氏(9・11陰謀論者として一部では有名)といったニューエイジ系の人士、全国BSC理美容協同組合(この団体に関しては後述します)、ナチュラリープラスのトップディストリビューターなど。国会議員(当時)では亀井静香氏、福島瑞穂氏、田中康夫氏、喜納昌吉氏などの名が挙がっています。2007年当時は川田龍平氏も加わっていたのですが、大人の事情か現在のサイトでは名前が消えています。

ギネス登録失敗

話題作りとしてか、「世界一発行部数の多いフリーペーパー」として、ギネスブックへの登録を申請していました。しかし、結局配布部数を証明することができずに、「ギネス登録」は失敗に終わりました。

中身がない「号外」

読んでみてどうですか? つまらなかったでしょう。

温暖化防止を主張する一方で、中村隆市氏や坂本龍一氏などは反原発という立場で、六ヶ所再処理工場が放射能汚染をもたらすと主張しています。これは二兎を追っているわけでしょう。環境問題に関する議論を読んでいると、火力発電によるCO2の問題と原子力発電はトレードオフだという声が多くて、例えば槌田敦氏は反原発ゆえに、「温暖化論は原子力業界の陰謀」説を唱えていたりするんですがねぇ。じゃあ火力も原子力もやめて風力や太陽光発電にすれば?という意見もあるでしょうが、風や太陽光はタダでも、それを電力に変える発電所を作って維持するのはタダではないわけで、それらで火力や原子力を代替できて万事解決するならとっくにやっているはずなんですがね。

恐るべき上納システム「100万番長」

ボランティア活動というのは、余技の範囲で行うのが普通ですが、この「TEAM GOGO!」が極めて特異だったのが、「100万番長」なる特異なやり方です。これは、有志が一人100万円を目標に寄付を募り、100万円に足りなかった分は自腹で補填し上納するという強烈な集金システムでした。軌保氏自身がマルチ商法の商品愛用者であることを公言していることから、マルチ商法のやり方を取り入れたのかもしれません。

借金だけが残った

ギネスの登録に失敗し、「TEAM GOGO!」は同年の冬至をもって解散しました。収支をめぐって疑問を問う声が湧きあがり、残ったのは2600万円の借金。「言いだしっぺ」の軌保氏と中村氏が責任を持って返済するとしていますが、「借金補填のための募金」という、何とも情けないことをやっているのです。

中越沖地震でコンロ配布

実は私は、夏至に彼らが活動した時点ではノーマークでした。「ギネス登録」という気宇壮大なプロジェクトをマスメディアが大きく取り上げた形跡はなく、沖縄などでは『豪快な号外』が店などに束になって置いてあったらしいのですが、社会的にはほぼ黙殺されたといっていいでしょうね。夏至のすぐ後、7月に起きた、新潟県中越沖地震に関する、とあるボランティア活動をウォッチして、なんかヘンだなと思ったわけです。そこで、mixiのコミュニティ「チェーンメール観察会2.0」トピックでウォッチを始めました。

中越沖地震のとき、柏崎市など関係自治体は早い時点で、「個人からの救援物資は受け付けない」ことを表明していました。2004年に起きた新潟県中越地震の際、「大人用紙おむつが不足している」という文書がチェーンメールとして流布し、小千谷市に大量の紙おむつが届けられて荷捌きできずに持て余してしまった前例があったからです。

中越沖地震の後、mixiの日記をウォッチしていて、被災者にカセットコンロを配るボランティアとして、自治体ではなく新潟県在住の個人を宛先にしてコンロ、もしくはコンロを買うためのお金を義援金として送ろうというチェーン日記が転載されて広まっているのに気付きました。この活動は、「TEAM GOGO!」自体が行っていたわけではなく、新潟で「100万番長」をしている人物が「言いだしっぺ」でした。「TEAM GOGO!」の名前は出していたので、そのネットワークで呼びかけたのでしょう。

コンロボランティアの杜撰さ

しかし、この活動、呆れるくらい杜撰なものでした。

まず、コンロ自体の送付手段として、ヤマト運輸の宅急便を指定していたのですが、当のヤマト運輸は、ガスボンベは危険品ということで取り扱いは断っているのです。

そして、この「言いだしっぺ」、今は退会しているのですが、彼の日記からの引用。

ここだけの話ですが、○○さんがコンロ2000個300万円也の購入の大きな決断に踏み切ったのは、勇気があるのではなく、単なる計算ミスだったようです。2000個で30万円だと思っていて、今いただいている募金でなんとかなると思っていたらしいです。
「やりましょう!お金が足りないときはまたみんなで100万番長をやりましょう!」とコンロ2000個300万円也の購入に踏み切りました。

ああ、お腹がよじれるほど可笑しいでしょ。コンロの値段を一桁間違えて、誤発注だと判っても強行した。それで、『豪快な号外』のときと同じ、「借金補填のための募金」を始めたというアホらしさ。

このコミュニティの管理人は、「自己啓発セミナー対策ガイド」「やや日刊カルト新聞」を運営するライターの藤倉善郎氏で、この「言いだしっぺ」や関係者に直接取材を試みて、今はなき「オーマイニュース」でまとめられていました。

そして、中越沖地震のコミュニティで、当の柏崎市の方が、このコンロボランティアに関して批判しているのが紹介されました。

>57

すみません。辛口意見になるのですが…。

救援物資なのですが、本当に必要じゃない人も貰って行ってる様に思えるのですが…。
私の勤務する会社裏が避難所なのですが、カセットコンロが大量に届けられ、配付されていました。
貰って行った人達は本当にカセットコンロはなかったのだろうか?
カセットコンロを持っている家庭は多いと思うのですが…。
私自身も柏崎市民ですが、うちは大した被災でもないので、
自分の家で出来る事は自分達でしよう、と被害の大きかった方を優先しようと、
スーパーやホームセンターで買えるものは買う様にしてます。
実際、スーパーやホームセンターは被災グッズも数多く置いています。
自分達で何とか出来る人達は自分達でやって欲しいと思うのですが。
これは厳しい考えでしょうか?
必要ない人が救援物資を持っていくから、本当に必要な人の分が足りなくなる、なんて事になって欲しくないです。
会社裏は大きな避難所なので、そういう物資が来てるが、小さな避難所にも届けられてるのでしょうか?
実際、震災をいい事に「避難所に行けば何でも貰えるし、タダで生活できる」なんて言ってる人もいるんです…。
当然の様に貰って行く人もいます。
本当に必要にしてるのは、避難所は遠くて行けない、買い物も遠いから、と言うお年寄り等がいる地域の、避難所ではない集会所等に届けて欲しいです。
被災をしたからと言って、甘え過ぎな人もいると思います。
柏崎市民として恥ずかしいです…。

>60

今、柏崎市の災害対策本部に実情を話しました。
今日、カセットボンベを配付していたのは、市の方針ではなく、ボランティアで来た企業さんだか団体が独自で配付していたそうです。
市の広報で配付の知らせを行った訳ではなかったので、
貰えたのはたまたま避難所に来たごく一部と言う事になるでしょう。
私は会社の駐車場をみんなして同じ箱を持って横切って行くので、
一体何だろう?と思い、見に行ったので分かりましたが。
ちなみに、TVのニュースからの情報では、ガスコンロは2000個、たった4箇所の避難所のみの配付だった様です。
TVで放映されていたので、苦情が市役所にかなり届いたそうです。
市の方では、配付に格差が出ない様、みんなに行き届く様に、
町内会長さんに必要な物資を取りまとめて貰い、
町内や集落ごとに配付をする事を考えているそうです。
(ちょっと対応が遅い気もしますがね…。)
正直な話、災害対策本部でも迷惑しているのでは?
寄付を頂ける事は大変有り難い事です。
しかし、勝手な行動により、格差が生まれ、不公平感が生まれてしまいます。
せっかくの善の行為も、悪になってしまうと知りました。
私も市役所に問い合わせるまで、そういった事は分からず、役所は何をしてるんだ!と思ってしまいましたから…。

>67

ボランティアの方々や寄付に関しては、とても感謝しています。
私自身、災害ボランティアではありませんが、
過去、ボランティア活動に参加してたので、その辺りは理解しているつもりです。

ただ、今回のガスコンロの件ですか、
2000台もあったのですから、役所に企業物資の受付があるので、そちらに渡すのが良かったと思います。
無差別に配付してしまうと、必要ない人までタダだから、と持って行きます。
結局、大切な物資は無駄になってしまう可能性もあります。
何の為に災害対策本部があるのでしょうか?
何の為に規律があるのでしょうか?
もし、道に信号機がなければ、交通は麻痺し、事故も多数起こりますよね?
そういうのを防ぐ為に規律があると思います。

地震直後から仕事で支援・復旧活動をしていますが、中越地震で被災した上司から言われた事があります。
避難所にいるお客様に物資を届けたいと言って却下。
ペットがいるから避難所に行けないお客様がいたので預かりたいと提案して却下。
正直、不満に思いました。何て冷たいんだと。

しかし、避難所にいる特定の人に届けると、周りも被災者だから、何でこの人達だけ、と不満が上がる。
ペットに関しては、それじゃうちもお願い、と言われて収拾がつかなくなる。
結局お前のやる事は善意でも何でもなく、自己満足なんだ、と。
事実、過去のボランティア経験でその事は気付いていたのでハッとしました。

避難所である人が知人から貰ったおにぎりを食べていて、
それを見た人が、おにぎりは配給だと思い込み、
何で俺には無いんだ!と騒いでたりもします。
同一避難所内でその状態なのですから、避難所自体に差があったらどうですか?行政のせいにしませんか?
被災に遭い、混乱している人は多いです。
せっかく統制が取れて来た行政の仕組みを崩してしまったのは誰でしょうか?

申し訳ないですが、うちの会社でも、特定のお客様だけ特別扱いはしてません。と言うより出来ません…。
出来る事はやってあげたい気持ちは山々ですが、混乱が起きるからです。
私自身、力のなさを感じています。
恐らく行政も同じ気持ちだと思います。

せっかくの善意の行動が、混乱を起こすだけ起こして、その後に残るのは何でしょうか?

現地のそういった事情もご理解下さい…。

ただでさえ被災住民は殺気だっているし、救援物資が公平に行き渡らないとすぐに不満が出てくるから、行政は物凄く神経を使っているわけです。そのことを考えもせずに、勝手に上がりこんで、「ボランティア」と称してコンロを配って、結局は住民からも不興を買ってしまったのです。

結局、彼等がやった「ボランティア」の実態は、「善意でも何でもなく、自己満足」だったのです。チェーンメール、チェーン日記を転送するのも、私に言わせれば自己満足。コピー&ペーストして垂れ流すだけで、いい事をしたと自己満足。もし万が一にも、余震でボンベの山が崩れて爆発事故でも起こせば、どう責任をとったのでしょうかね。

動けば変わる?

軌保氏および「TEAM GOGO!」のモットーは、「動けば変わる」です。我々は、何かしらの行動をする上で、それをした場合、しなかった場合どうなるか、考えて動くわけですが、「考えなくてもとりあえず動けば、周りがついてくる」と思っているようです。「百匹目の猿」のようにシンクロニシティーで伝わるという思想が根底にあるようです。

ネットワーク『地球村』

「TEAM GOGO!」に関わりのあった団体を見ていきましょう。

松下電器に勤めていたという、高木善之氏が交通事故で生死の境を彷徨って、考えが変わって環境問題に取り組むようになり、設立したのが『地球村』だとしていますが、高木氏は、私有財産を否定することで有名な「幸福会ヤマギシ会」の出身です。ヤマギシ会の問題を取り上げる市民団体の間では、ヤマギシから派生した『地球村』も要監視だという意見が出ています。

オーマイニュースに藤倉氏が寄稿した記事では、高木氏および『地球村』をこうまとめています。

高木氏は、環境問題に関する著書も多く、コーチングという心理療法ビジネスにも関わっている。一方で、疑似科学やオカルト的な事業やイベントを手がけることで有名な経営コンサルタント・船井幸雄氏と親交があるほか、農業集団「幸福会ヤマギシ会」の出身者でもある。

ヤマギシ会は、財産などの個人所有を否定する思想を掲げ、内部での児童虐待、会員からの労働力や財産の収奪などを理由に「カルト的集団」との批判もある団体だ。団体内での通過儀礼とされる「特講」については「洗脳である」との批判もある。

ネット上では、「TEAM GOGO」やてんつくマン氏とマルチ商法会社「ナチュラリープラス」との関係が取り沙汰されているが、高木氏もまた、今年6月にナチュラリープラス福岡サロンでトークライブを行っている。

『豪快な号外』の呼びかけ人や賛同者のリストを見ると、環境問題関連の人物・団体のほか、マルチ商法のトップディストリビューター(販売員)、スピリチュアル方面の人物・団体の名が見える。環境問題・マルチ商法・スピリチュアルは、「GOGO」を支える「黄金三角形」だ。

結果的にせよ、この全ジャンルに接点をもつ高木氏は、「GOGO」のキーパーソンであり広告塔。その彼がこれまで「ネットワーク『地球村』」を基盤として作り上げたのが全国の「地球村」ネットワークで、で、××さん(引用者注:コンロ募金の受付先になっていた人物・元記事では実名)もその一員、というわけだ。

ナマケモノ倶楽部

「ナマケモノ倶楽部」は、「国民総幸福」を掲げるヒマラヤの小国・ブータンに「エコ・スピリチュアルツアー」を行っています。これについて、二風谷ダム裁判に知り合いが関わっていたという方が、ブータンは民族浄化をしている国じゃないかと激怒していたのが忘れられません。そのブータンがどういう国かは、山形浩生氏が紹介しています。

ブータンの民主主義

日本の「進歩的」な文化人には、ブータンにやたらに好意的な人々が多い。この記事の中にも出てくる「国民総生産より国民総幸福をめざす」という王さまのスローガンは大人気だ。日本も経済成長偏重の考え方を改めて真の幸福を目指す社会を、というわけだ。ブータンはまた、観光客の流入を極度に制限し、民族衣装の義務づけなど文化的規制も厳しく一見すると鎖国に近い状態に思える。対外貿易に血道を上げて己を見失った日本人とはおおちがい!

だが実はブータンもちゃんと経済成長をしている。十二%! 日本の高度成長期並ですぞ。しかもそれは、貿易のおかげだ。これまた環境重視の進歩派の嫌う水力発電ダムの電力をインドに売ることで外貨を稼いで成長している。

さらにブータンはインドより一人あたりで見ればずっと豊かなのに、インドから開発援助(ODA)を受けていて、かなりの福祉国家を実現しているのに/あるいはそれ故に底辺の仕事は(援助をくれている)インドの貧乏人に丸投げしている、ということ。ブータン人たちが楽しく幸せそうなのもあたりまえだ。相対的に豊かなうえ、辛い仕事はしないんだもの。

そして最後に書かれた惨状――人口の二割を占める、言葉がちがうだけの同胞に強引なブータン同化を強制し、それに逆らったらテロリスト扱いで、一族郎党まで人権をまるごと剥奪するという前近代的な状況は、ぼくも含め多くの人のまったく想像もしなかったものだろう。ブータンからの難民の話はきいていたが、こうした事情だとは。社会、経済、福祉の駆け引きは、こんな小国にも確実にあるし、それは一般に思われているほどきれいなものではないかもしれないのだ。

全国BSC理美容協同組合

この団体、パーマ液の有害性を謳って、「ビーワンバランス」なる水を理美容向けに広めているのですが、ビーワンにはこんな秘密があるようです。

水のクラスターにきれいな結晶、まさに「水にまつわる迷信」で取り上げたネタそのものじゃないですか。「水商売ウォッチング」のコメントはこちらです。

以前私が勤めていたところが理美容関係で、社長がここの講習会に行って、どうやらヘンな機械を売りつけるのが目的らしいと、アホらしくなって途中で帰ったというのです。

ビーワンを開発したという佐藤日出夫氏は、「環境保全研究所顧問・知花敏彦氏との運命的な出会いにより宇宙の真理を学」んだそうです。その知花敏彦氏とはこんな人物。

知花敏彦公式ホームページ

知花敏彦氏は、天上界から人類指導の目的で地上界に派遣された、少数の指導者の一人です。

何これ? 頭がクラクラするじゃありませんか。

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